ビタゲン®はチアミンラウリル硫酸塩を主成分とした製剤です。チアミンラウリル硫酸塩はビタミンB1誘導体の一種で、食品添加物としてビタミン強化・日持ち向上に用いられています。
ビタミンB1のお話
ビタミンB1は炭水化物をエネルギーに変える大切な役割を持ったビタミンです。
ビタミンB1がないと燃料はあるのに燃やせない状態になってしまい、エネルギーが足りなくなって体が疲れてしまいます。油のきれた機械と一緒です。
特に神経のエネルギーは炭水化物からしか作れないのでビタミンB1不足はイライラの原因にもなってしまいます。さらにひどくなると、手足の痺れや心臓にまで影響が。
これが脚気(かっけ)と呼ばれる病気です。
食品から摂る通常のビタミンB1は、水に溶けやすい性質(水溶性)を持っています。
水溶性のビタミンB1は、体内からすぐに排出されてしまうため、十分に力を発揮することができません。そのような性質を改良したのがビタゲン®で、効率よく体内に吸収されるように開発されました。
ビタミンで日持ち向上?
ビタゲン®は、ビタミン強化剤としてだけではなく、日持向上剤としても非常に有効です。この日持ち向上効果を発見できたのには、あるエピソードがあります。
日本人は炭水化物の多くをご飯で摂っていますが、食べやすさから精米された白いご飯を頂くことが多いですね。しかし、精米されてしまうとビタミンB1はほとんどなくなってしまいます。そこで、ビタゲン®は発育期の子供たちの健康のため、学校給食のパンやご飯のビタミンB1強化に多く使われるようになりました。ビタゲン®が、このような用途で使われ始めるようになった頃、あることに気がつきました。なんと、ビタゲン®入りのご飯は通常のご飯に比べて腐りにくかったのです。
この発見から、ビタゲン®の日持ち向上効果についての研究が始められ、非常に有用な日持向上剤であることが見出されました。今では、課題であったビタミン臭や溶解性などを改良したシリーズをラインアップしており、醤油、つゆ、たれ、キムチなど幅広い食品に日持向上剤としてお使い頂いております。
ビタゲン®の特長
- ビタミンB1のにおい原因物質を特定し、低臭化に成功
- 吸湿性が少ない
- 加熱による分解がほとんど起こらない
栄養強化剤として
-
ビタゲン®(チアミンラウリル硫酸塩)1gはビタミンB1 塩酸塩0.413gに 相当
日持向上剤として
- pHの影響を受けにくく、中性域でも効果を示す
- 一般細菌のみならず、真菌・乳酸菌にも効果あり
- 食塩、エタノール、有機酸の併用で効果増大
ビタゲン®(チアミンラウリル硫酸塩)の各種菌に対する最小生育阻止濃度(MIC)※値が低いほど効力が高い
単位:(ppm)
チアミンラウリル硫酸塩 | ||||
---|---|---|---|---|
pH5 | pH6 | pH7 | ||
細菌 | Pseudomonas aeruginosa OUT8252 | 320 | 630 | 1,250 |
Staphylococcus aureus 209P JC-1 | 160 | 80 | 160 | |
Micrococcus luteus ATCC9341 | 160 | 80 | 160 | |
Bacillus subtilis ATCC6633 | 80 | 160 | 320 | |
Lactobacillus acidophilus LA-1 | 80 | 80 | 40 | |
真菌 | Debaryomyces hansenii IF00023 | 320 | 320 | 630 |
Saccharomyces cerevisiae S-100 | 160 | 160 | 160 | |
Penicillium citrinum OUT | 160 | 320 | 320 | |
Aspergillus niger ATCC6275 | 160 | 320 | 160 |
※日本化学療法学会標準法に準拠
ビタゲン®使用例
醤油
梅干し
キムチ
表示例
日持ち向上の目的で使用 | チアミン、ビタミンB1、V. B1 |
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栄養強化の目的で使用 | 表示不要 |